2000年4月1日 ~ 2023年10月26日の間に当院にて、外科手術の麻酔を実施した全ての患者様へ

周術期管理を理想的にする最適なパラメータの検討

当院では外科手術中の患者様を安全にかつ適切に麻酔管理することで、術後回復を最適化できる診療を行なっております。手術の内容や患者さんの全身状態など様々な要因が異なるなかで、それぞれの患者さんが出来るだけ早期に、良い状態で退院されるような理想的管理方法を見出すには継続的に実際の麻酔管理の調査検討が必要です。

【研究課題】

周術期管理を理想的にする最適なパラメータの検討

【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

  • 研究機関 東京大学大学院医学系研究科・外科学専攻・麻酔学講座
  • 研究責任者 内田寛治・麻酔学講座・准教授
  • 担当業務 データ収集・匿名化・データ解析

【研究期間】

2008年10月27日〜2023年10月26日

【対象となる方】

2000年4月1日 ~ 2023年10月26日の間に当院にて、外科手術の麻酔を実施した全ての患者様。個別の研究テーマに基づき詳細に開示します。

【研究の意義】

論文やガイドラインで提示される適切な麻酔管理方針やパラメータは欧米人を対象としたものが多く、様々な理由で我が国の患者さんに適合できない場合もございます。そこで当院で取得される様々な生体情報(パラメータ)と術前術後診療情報を組み合わせることにより、最適な周術期管理を行う上での適切なパラメータを決定できるのではないかと考えられます。また適切な管理方法の確認には前向き研究(研究目的を決定した後、患者さんをいくつかのグループに振り分けて、その経過を追わせていただく研究)が重要ですが、その基盤として後ろ向き研究(今までの臨床データを解析して、治療成績や患者様の自然経過を見させていただく研究)が非常に重要です。

【研究の目的】

手術麻酔を受ける全ての患者様に焦点をあて、特定の疾患、手術などに分類したうえで、診療上得られたパラメータを分析し、周術期の患者様の状態と対比して、理想的な管理指標を導出することを目的とします。

【研究の方法】

この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。これまでの診療で手術室での術中管理に用いた画像データ、波形データ、数値データおよび使用薬剤記録、また診療録に記録されている病状記録、血液検査や尿検査結果、画像検査、病理検査などのデータを収集して行う研究です。過去の診療記録を元に行いますので、該当する患者さんの現在・未来の診療内容には全く影響を与えませんし、新たにご負担いただくこともありません。

【個人情報の保護】

この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。収集されたデータは、解析する前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした上で、当研究室において内田寛治および個別研究責任者が、施錠された部屋の中で鍵のかかるロッカー、および個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。

この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は、個別研究テーマに記されている期日までに主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局までご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。研究結果は、個人が特定出来ない形式で学会等に発表されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら主治医または研究事務局へお尋ねください。

【利益相反について】

この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科・医学部外科学専攻生体管理医学講座麻酔学研究室の運営費(基盤研究費)から支出されています。本研究に従事する者のうち、山田芳嗣、内田寛治は、日本光電工業株式会社との共同研究契約を締結しておりますが、研究資金を用いることはございません。その他開示すべき利益相反関係はありません。東京大学医学部利益相反アドバイザリー機関に報告し、利益相反マネジメントを適正に行っています。本研究は、研究の実施や報告の際に、日本光電工業株式会社に都合のよい成績となるよう意図的に導いたりすることはありません。

尚、あなたへの謝金はございません。

2017年5月  
2018年11月改定

【問い合わせ先】

東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター 教授 内田寛治
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5800-8668  FAX:03-5800-8938
Eメールでのお問い合わせ:uchidak-ane@h.u-tokyo.ac.jp


現在実施されている個別研究テーマには以下のものがあります。

(1) 整形外科脊椎外科患者の術後経過を予測する術前、術中、術後早期のパラメータの抽出と麻酔薬との関係の検討

(2) ロボット支援手術、腹腔鏡下手術および開腹手術における周術期管理を最適化するパラメータの抽出

(3) 心臓移植患者における周術期管理の後ろ向き研究

(4) 左心補助人工心臓装着術における周術期管理の後ろ向き研究

(5) 全身麻酔抜管時の純酸素投与が術後酸素化能に及ぼす影響についての後ろ向き検討

(6) ICU2に入室された方で手術後シバリングに対する薬物治療が施行された症例に関する後ろ向き検討

(7) 開腹手術後の創部以外の痛みに関する後ろ向き検討

(8) 術後痛み・不穏・せん妄管理関する後ろ向き検討

(9) 外科手術後、ICU2に入室し、心不全と診断された症例に関する後ろ向き検討

(10) 間質性肺炎併存症例において全身麻酔手術後に生じる急性増悪発症の術前リスク評価

(11) 体肝移植ドナーの肝切除術における凝固能の経時変化に影響するパラメータの検討

(12) 内腸骨動脈バルーン留置を併用した帝王切開術の麻酔方法についての検討

(13) ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術における視野障害と術後疼痛、吐き気の検討

(14) 全身麻酔中のレミフェンタニルと術中尿量に関する後ろ向き検討

(15) 肺切除術後の酸素化に影響を与える因子に関する後ろ向き検討

(16) 術後にICU2に入室された方を対象とした、術後酸素療法についての後ろ向き観察研究

(17) 左室補助人工心臓(LVAD)術後の大動脈弁閉鎖不全症に関する後ろ向き観察研究

(18) 女性外科手術で全静脈麻酔を受けた方におけるプロポフォール投与量の検討

(19) 術後にICU2に入室された方を対象とした、術後の経胸壁心エコーの描出特性についての検討

(20) 妊娠中に全身麻酔下で手術を受けた方を対象とした、妊娠中の麻酔関連薬剤投与と周産期予後の関連についての検討

(21) 耳鼻科の長時間手術における、術後の高血圧および心不全の関連因子の検討

(22) 術前麻酔科コンサルトの分析による、周術期管理の向上に関する検討

(23) 手術制限下で行われた手術症例特性の後ろ向き検討

(24) 手術制限下で行われた手術症例特性の後ろ向き検討(期間変更)

(25) 間質性肺炎に対する片肺移植手術患者の急性増悪頻度と肺外科術後間質性肺炎急性増悪患者の比較による麻酔管理関連項目が急性増悪に寄与するかについての後ろ向き検討

(26) 慢性疼痛患者における脳血流分布の特徴抽出と診断支援法の開発

(27) 前立腺切除手術における体位と術後腎機能の関係性の検討

(28) 前立腺切除手術における体位と肝移植手術における周術期の白血球数やその分画、肝機能指標の推移、術前免疫抑制剤投与と術中白血球数やその分画との関連、術後早期の合併症についての検討

(29) 経尿道的膀胱腫瘍切除術におけるアラグリオと低血圧の関係性の検討

(30) 食物アレルギーと麻酔薬との関係性の検討

(31) 非侵襲連続推定心拍出量モニターesCCO(日本光電製)を併用した麻酔管理が周術期合併症の減少に寄与するかについての後ろ向き検討

(32) 脳波パラメータと麻酔深度の関係の検討

(33) 術中圧波形と心エコー所見の関係性の検討

(34) 経食道心エコー図検査の最適化における周術期管理の後ろ向き研究

(35) 硬膜外麻酔・脊椎麻酔および末梢神経ブロックの最適化における周術期管理の後ろ向き研究

(36) 抗腫瘍薬の周術期の心血管系への影響の検討