東京大学医学部麻酔学教室は昭和27年7月16日に東京大学医学部に開設された日本で最古の麻酔学教室です。

当時は山村秀夫現名誉教授が講座担当の助教授に就任し(昭和 32 年に教授に昇進)、教室運営にあたりました。昭和30年に中央手術室が完成し、 手術麻酔に置ける麻酔科の活躍の場が完成しました。昭和29年5月2日に発足した日本麻酔科学会は、当初外科学教授が会長を務めて開催されていましたが、第6回総会で、当教室の山村初代教授が麻酔科教授として初めて会長を務めました。さらに昭和 37 年に若杉文吉らが中心となって我が国で始めてのペインクリニックが活動を開始しました。

主任として四半世紀以上を努めた山村教授退官後、昭和55年に昭和大学から稲田豊が第二代教授に就任しました。稲田教授は、臨床麻酔の充実に力を注ぎ、手術麻酔の更なる発展に大きな貢献をしました。

昭和62年には横浜市立大学から沼田克雄が第三代教授に就任。 沼田教授は在任中の昭和 62 年に当時の諏訪助教授とともに昭和天皇の手術の麻酔を担当し、このとき全身麻酔に硬膜外麻酔を併用したことが、硬膜外麻酔の全国的な普及のきっかけとなりました。患者への説明時にも、「陛下と同じ麻酔です」と言う決まり文句がはやった時代でした。

平成3年に東大病院分院助教授であった花岡一雄が第四代教授として着任し、 国立大学の独立行政法人化に伴う手術件数の激増に対応し、院内での麻酔科スタッフの充実を図りました。 また花岡教授は初代理事長として、 日本麻酔科学会の社団法人化に力を注ぎました。

平成 18 年に横浜市立大学教授であった山田芳嗣が第五代教授に就任し、現在に至っています。東京大学医学部附属病院は平成18年に中央診療棟II期工事が完成し、手術室が12室より23室に倍増しました。山田教授は自ら先頭に立って日々の麻酔臨床に携わりつつも、激動する現在の医療状況で、 麻酔学教室における臨床・教育・研究をいっそう充実させて、当教室が世界の麻酔科領域で臨床的にも学術的にも確固たる地位を得ることを目標として掲げており、我々医局員も日々安全管理に留意し臨床・研究活動を行っています。